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CATEGORY:雑記
2008年08月12日 (Tue)
更新がなにもないから恥晒し!
過去メールの中にこんなミズサカを見つけた。なんという王道ネタ!
時期的に2005年の『転がり落ちるように』の前フリかと思われます。しかし冒頭からオチが見えるという…(笑)
いろいろ微妙なので暇な方はどうぞ。
↓↓
過去メールの中にこんなミズサカを見つけた。なんという王道ネタ!
時期的に2005年の『転がり落ちるように』の前フリかと思われます。しかし冒頭からオチが見えるという…(笑)
いろいろ微妙なので暇な方はどうぞ。
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「いい天気だなー」
水谷はパック飲料にさしたストローの先を口にくわえて空に笑った。
夏の始めの頃だった。
きみにうたう
「栄口さ、休み時間ていつも教室で話してんの?」
「んー。まあ、大体はね」
相変わらず水谷は空を見上げている。自分はというと、伸ばした両腕の先で箸と弁当箱を弄んでいた。
なんだか食が進まない。ひとくち口に運んでは舌に乗せ、ゆっくりと噛み始めるが何分ペースが遅かった。まあ、じっくり噛むから米の甘みは身に染みて美味しいのだけど。
「オレも休み時間はクラスにいるかな。動くのめんどくせーし」
「ああ、主将会議で七組行くといつもいるよな。MD聴いてる」
「あはは、よく見てるなー」
笑う横顔はとてもキレイなのだけど。
光に躍る水谷の、色素の薄い髪。もしかして染めているのかもしれない。自分は元々薄い色素なのだけど。
彼はこちらを、いまだに見ようとしない。
手を止めて彼の横顔に見惚れた。
自分から誘っておいてなんなんだろう。目を合わせてくれないのはちょっとムカつく。
「水谷、オレに話があるんじゃないの?」
「あははー」
笑って俯いて両腕を立てた膝の上に。水谷なパック飲料を口から離す。
そして唐突に。
「好きな人ができました」
──ああなんだ、相談か。だからわざわざオレひとり呼び出したんだ。
なんでオレかは知らないけど、よくみんなの相談役やってるからかな。聞くのは嫌いじゃない。
「だからこれから告ろうと思うんだけど」
「……うん」
聞き役は得意なはずなのに胸がチクリと痛んだ。
きらりと太陽の眩しさに目を細める。今度はオレも水谷が見れない。
「その人はオレみたく適当な人間じゃなくてさ、すごい真面目でいい人なんだ」
たは、と一息。
「オレみたいなのから告られてもなあ」
「水谷は適当なんかじゃないよ」
水谷が驚いてオレを見る。気配で分かった。自分は見れない。
「三星戦の後、見たよ」
オレは知ってる。三星戦でフライを落とすエラーをした水谷が、口では軽く謝るだけの水谷が一週間、キャッチの自主練を部活後やっていたこと。
家が遠くて食事当番もあって早く帰ろうとは思っていたけど、一度用具を返しに戻った日があった。
「試合でエラーしたら一週間、居残って練習するって決めてるんだろ?」
自分で高くボールを放って捕る。その延々とした繰り返し。
「そんな風に自分にルールを課すことって、適当な人にはできないよ」
なんて冗談じゃなくて結構マジに思うんだ。
まあ、始めのうちはちょっとどうかなあなんて思ってたけど。お調子者でマイペース、瞑想では寝こけるし。
けどあれを見てからは、わざわざ他人に努力してるところを見せたくないだけなんだなって思った。
「……じゃあ、栄口だったら」
「何?」
穏やかに風が吹く。オレは思わず水谷を見た。水谷はもうオレを見てはいなくて。腕の先のパックを見つめて伏せ目がちに。
「栄口だったら、オレみたいなのから告られても、OKすると思う?」
オレだったら。
オレだったら?
いやいや、違うだろ、水谷が誰かに告って相手がOKするかしないかってことだよな。
しっかり者だよお前は。だからその子もきっと頷いてくれるよ。
「……すると思うよ」
だってお前格好いいもんな。
「お前のこと好きになるよ」
「……かなあ」
「だよ。平気だって、水谷──」
突然。
目の前が真っ暗になって覆われたのは多分水谷が近づいたからで。
唇に軽く押しつけられた感触。乾いているのに柔らかい。
時間が止まったみたいだった。
そっと離れて水谷はオレの両目を覗き込む。──鋭くて滑らかでいつもののんびりとしたのとは随分違う抗えない力を持った視線に釘付けになった。
「ごめんな」
そう言って少しだけ困った風に表情を曇らせて。
「栄口が好きなんだ」
状況がイマイチ把握できなくて混乱する。したらみるみる顔が熱くなってって。
持っていた箸がカランと落ちた。
「オレのこと好きになってくれる?」
卑怯だこんなやり方。
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会話しかしてないよ…!
「いい天気だなー」
水谷はパック飲料にさしたストローの先を口にくわえて空に笑った。
夏の始めの頃だった。
きみにうたう
「栄口さ、休み時間ていつも教室で話してんの?」
「んー。まあ、大体はね」
相変わらず水谷は空を見上げている。自分はというと、伸ばした両腕の先で箸と弁当箱を弄んでいた。
なんだか食が進まない。ひとくち口に運んでは舌に乗せ、ゆっくりと噛み始めるが何分ペースが遅かった。まあ、じっくり噛むから米の甘みは身に染みて美味しいのだけど。
「オレも休み時間はクラスにいるかな。動くのめんどくせーし」
「ああ、主将会議で七組行くといつもいるよな。MD聴いてる」
「あはは、よく見てるなー」
笑う横顔はとてもキレイなのだけど。
光に躍る水谷の、色素の薄い髪。もしかして染めているのかもしれない。自分は元々薄い色素なのだけど。
彼はこちらを、いまだに見ようとしない。
手を止めて彼の横顔に見惚れた。
自分から誘っておいてなんなんだろう。目を合わせてくれないのはちょっとムカつく。
「水谷、オレに話があるんじゃないの?」
「あははー」
笑って俯いて両腕を立てた膝の上に。水谷なパック飲料を口から離す。
そして唐突に。
「好きな人ができました」
──ああなんだ、相談か。だからわざわざオレひとり呼び出したんだ。
なんでオレかは知らないけど、よくみんなの相談役やってるからかな。聞くのは嫌いじゃない。
「だからこれから告ろうと思うんだけど」
「……うん」
聞き役は得意なはずなのに胸がチクリと痛んだ。
きらりと太陽の眩しさに目を細める。今度はオレも水谷が見れない。
「その人はオレみたく適当な人間じゃなくてさ、すごい真面目でいい人なんだ」
たは、と一息。
「オレみたいなのから告られてもなあ」
「水谷は適当なんかじゃないよ」
水谷が驚いてオレを見る。気配で分かった。自分は見れない。
「三星戦の後、見たよ」
オレは知ってる。三星戦でフライを落とすエラーをした水谷が、口では軽く謝るだけの水谷が一週間、キャッチの自主練を部活後やっていたこと。
家が遠くて食事当番もあって早く帰ろうとは思っていたけど、一度用具を返しに戻った日があった。
「試合でエラーしたら一週間、居残って練習するって決めてるんだろ?」
自分で高くボールを放って捕る。その延々とした繰り返し。
「そんな風に自分にルールを課すことって、適当な人にはできないよ」
なんて冗談じゃなくて結構マジに思うんだ。
まあ、始めのうちはちょっとどうかなあなんて思ってたけど。お調子者でマイペース、瞑想では寝こけるし。
けどあれを見てからは、わざわざ他人に努力してるところを見せたくないだけなんだなって思った。
「……じゃあ、栄口だったら」
「何?」
穏やかに風が吹く。オレは思わず水谷を見た。水谷はもうオレを見てはいなくて。腕の先のパックを見つめて伏せ目がちに。
「栄口だったら、オレみたいなのから告られても、OKすると思う?」
オレだったら。
オレだったら?
いやいや、違うだろ、水谷が誰かに告って相手がOKするかしないかってことだよな。
しっかり者だよお前は。だからその子もきっと頷いてくれるよ。
「……すると思うよ」
だってお前格好いいもんな。
「お前のこと好きになるよ」
「……かなあ」
「だよ。平気だって、水谷──」
突然。
目の前が真っ暗になって覆われたのは多分水谷が近づいたからで。
唇に軽く押しつけられた感触。乾いているのに柔らかい。
時間が止まったみたいだった。
そっと離れて水谷はオレの両目を覗き込む。──鋭くて滑らかでいつもののんびりとしたのとは随分違う抗えない力を持った視線に釘付けになった。
「ごめんな」
そう言って少しだけ困った風に表情を曇らせて。
「栄口が好きなんだ」
状況がイマイチ把握できなくて混乱する。したらみるみる顔が熱くなってって。
持っていた箸がカランと落ちた。
「オレのこと好きになってくれる?」
卑怯だこんなやり方。
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会話しかしてないよ…!
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